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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系4歳上 (国際)(指定) 別定
  • 芝1400M
  • 天候:晴
  • 芝:良

トーキングドラム

戦歴 22戦5勝 生産者 (有)下河辺牧場 馬主 下河邉美智子
調教師 斎藤誠 騎手 幸英明

取材ノート

 高松宮記念(G1)への重要なステップレース「第61回阪急杯(G3)」が2月26日、阪神競馬場で行われ、日高町の下河辺牧場生産で7番人気の伏兵、トーキングドラムが最後の直線で内ラチ沿いをスルスルと抜けて優勝。 21戦目で嬉しい重賞初制覇となった。

 下河辺牧場は、1933年に下河辺孫一氏が千葉県で開設し、先代の俊行氏が引き継ぎ、現在は主に繁殖のパートを受け持ってきた長男の行雄氏が社長を務めている。俊行会長は、日高軽種馬農業協同組合の副組合長理事、日本競走馬協会の理事など歴任。現在は札幌馬主協会の会長を務め、行雄氏は近隣のサラブレッド総合商社サラブレッド・ブリーダーズ・クラブ、ブリーダーズスタリオンステーションの代表も兼任している。特徴的なのは育成スタッフも出産の1か月前から繁殖の仕事も行い、1頭の馬の管理を共有化していること。行雄社長のもと、、先代が培ってきた、繁殖、馴致育成、トレーニング、一部後継馬の競走管理、繁殖入り・・・・と一環としたラインを受け継ぎ、育成を受け持つ弟の隆行さんと、信頼する約60名のスタッフたちで、約140頭の繁殖牝馬と、その産駒たちを養っている。牧場創業当初からマーケットブリーダーとしての立場を貫いた経営理念と一環とした競走馬つくりは、日高の生産牧場の生産界の模範ともなっている。

 本馬については、隆行さんが良いと行雄社長。早速隆行さんの取材となった。いつも礼儀正しく笑顔を絶やさない隆行さんは「この馬には少し思い入れもありますからね」と出走レースのデータを持ち出してきた。

 キングカメハメハ産駒の牡馬。期待の大きな馬だったが、ボーンシストを患ったために1歳秋に手術を行い、会長夫人の所有馬として3歳1月のデビューとなった。ボーンシストは、若馬に見られる症例で、関節軟骨の下にある骨の発育不良を要因とする病気だ。

 「デビュー戦が3着。その3か月後の中山競馬3歳未勝利で勝ち上がりました。楽しみだったのですが・・」と顔を曇らせる。

 この勝鞍の後、本馬は脚部不安を再発。1年半にも及ぶ休養を余儀なくされる。

 2年後の1月に中京の芝に転向して出走して2着。 そこからは、ボーンシスト再発の恐れと付き合いながらの競馬が続く。

 「競馬場に出しているときは、すべてを斎藤調教師の判断に任せています」と隆行さん。大事に使われながら、2走前の京都・新春Sを勝ってオープン入り。今回の重賞初挑戦での快挙となった。

 「よくここまで頑張ってきたと思います。休み休みで今回が21戦目ですから、馬としてはまだ走れるのでしょうね。重賞で勝てるなんて思いもしなかったですよ。重賞に勝つことは本当に嬉しいのですが、優勝にはこだわりを持ちません。この馬が今、病と立ち向かいながら競走馬として十分すぎるほど頑張って走っているのですから、このまま少しでも長く走って欲しいだけです」と。隆行さんの言葉に、本馬を競走馬として立ち直させたホースマンの愛情がにじみ出ていた。