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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳 (国際)牡・牝(指定) 定量
  • 芝2400M
  • 天候:晴
  • 芝:良

レイデオロ

戦歴 5戦4勝 生産者 ノーザンファーム 馬主 (有)キャロットファーム
調教師 藤沢和雄 騎手 C.ルメール

取材ノート

 競馬に関わる人間なら誰もが憧れるレース。それがダービー。ダービー馬を生産したい、ダービー馬に携わりたい、ダービー馬に騎乗したいといった思いがあるからこそ、ホースマンたちは日々努力を重ねていく。

 中央競馬にとってのダービーと言えば、勿論、日本ダービー(G1)である。その日本ダービー馬の育成を、2度に渡って手がけてきたホースマンがいる。第79代の日本ダービー馬ディープブリランテ、そして今年、第84代日本ダービー馬に輝いたレイデオロ。この2頭はノーザンファーム空港のA-1厩舎で厩舎長を務める、大木誠司氏の元で調教された馬だった。

 「初めてダービー馬に携わることができた、ディープブリランテの日本ダービー(G1)優勝も強く印象深く残っています。ただ、今回は生産馬ということで、繁殖スタッフやイヤリングスタッフといった、普段から関係の深い仲間たち喜びを分かち合えたことは、また違った感動を覚えました」と大木厩舎長は2度目となる育成馬の日本ダービー(G1)制覇を振り返る。

 年末にホープフルS(G2)を優勝し、一躍クラシック候補として名前が挙がったレイデオロは、3歳初戦のレースとして牡馬クラシック一冠目となる皐月賞(G1)へ出走、5着に敗れたものの、メンバー中2位となる上がり34秒フラットの末脚と、更に上積みが見込まれた日本ダービー(G1)では、2番人気の支持を集めていた。

 この皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)共に、大木厩舎長は競馬場へと応援に出かけていた。「皐月賞(G1)は休み明けということもあったのか、体つきにも余裕があるように見受けられましたが、日本ダービー(G1)でパドックを周回する姿は、前走よりも筋肉のメリハリも出ていて、より仕上がっているような印象を受けました。多少、テンションも高いようには見受けられましたが、それでも厩舎スタッフの方が上手くなだめていてくれましたし、この闘争心は競馬に繋がってくるとも思っていました」

 大木厩舎長の元で管理をされていた頃から、レイデオロはテンションの高さを行動として見せる馬だった。

 「普段の行動だけで無く、調教でも前向きさを見せていたので、折り合いを付けさせるのには苦労させられました。入厩後もやんちゃな一面があると聞いていましたが、それでもレースでは折り合いが付いていて驚かされました」

 それが証明されたのは、レースの中盤で鞍上のルメール騎手が見せた、東京競馬場をどよめかせる騎乗だった。1000m通過が63秒2とペースが遅いと見るや、後方から一気にポジションをあげていき、逃げたマイスタイルのすぐ後ろに取り付く。一度、ゴーサインを出したのにも関わらず、前に馬を置く位置で折り合いを付けられただけでなく、そこで再び鞍上の仕掛けを待てたのは、レイデオロのオンとオフの切り替えが、実戦向きだったとも言えるだろう。

 「ペースが遅いのを見て、後方からのレースでは勝つのは難しいかなと思っていたところで、ポジションを一気に上げた時には驚いたのと、よく前に行ってくれたとの思いがありました。競馬ではまずかからない馬ですが、それもルメール騎手だからこそ、折り合いが付けられるのかもしれません」

 最後の直線、馬場の真ん中に出来上がっていたグリーンベルトに進路を取ったレイデオロは、そこがビクトリーロードであるかのように、後続との差を引き離しにかかる。迫ってくるのは同じノーザンファーム空港の育成馬であるスワーヴリチャードとアドミラブル。しかし、2番手で力を溜め込んでいたレイデオロはセーフティーリードを保ったまま、ゴール板を先頭で駆け抜けた。

 「育成時からクラシック制覇を期待していましたが、その想像以上にダービー(G1)では強い姿を見せてくれました。今後はダービー馬としてのレースが始まっていくわけですが、このレース内容からしても、ますます強くなってくれると思います」

 大木厩舎長はディープブリランテを通して得た、日本ダービー馬に携わったという経験を、レイデオロへ確実にフィードバックした。そのフィードバックはこれからの育成馬たちにも生かされていきそうでもあり、そう遠くない時期に、大木厩舎長から3頭目の日本ダービー馬にまつわるお話を聞かせてもらえるのかもしれない。