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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳上 (国際)(指定) 定量
  • 芝1600M
  • 天候:晴
  • 芝:良

ステルヴィオ

戦歴 9戦4勝 生産者 ノーザンファーム 馬主 (有)サンデーレーシング
調教師 木村哲也 騎手 W.ビュイック

取材ノート

 ステルヴィオだけでなく、鞍上を務めたビュイック騎手、管理する木村哲也調教師にとっても、初めてのG1制覇となった今年のマイルCS(G1)。そして騎乗育成を行ってきたノーザンファーム早来の伊藤厩舎にとっても、育成馬では初めてのG1制覇ともなった。

 「レースは自宅で見ていましたが、ゴールの瞬間から続々と電話やLINEが届きました」と話すのは伊藤隆行厩舎長。次々から次へと着信を告げていくLINEの中で「おめでとう!」の言葉が頻繁に飛び交っていたのが、伊藤厩舎内での連絡事項を確認するグループLINEだった。

 「厩舎のみんなでこの勝利を喜び合えたこともまた、嬉しかったです」

 伊藤厩舎にとって、初めての重賞タイトル(スプリングS(G2))を授けてくれたステルヴィオは、その後、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)にも出走。春のクラシック戦線を戦い抜いた後は、伊藤厩舎で調整されることとなった。

 「こちらに来たばかりの頃は、レースの疲労が抜けきっていないにも関わらず、気持ちは前向きで、心身のバランスが合っていないような印象がありました」

 それでもコンディションが整い、気持ちと走りのバランスが良くなってからのステルヴィオは、一気に良化を遂げていく。この時に伊藤厩舎長やスタッフが取り組んだのは武器である末脚を、更に上手く使えるための調教だった。

 「これまでのレースでは、鞍上が指示を送った際に、スピードを上げるギアが上手く入っていかないような走りをしていましたが、その辺がスムーズに行えるようにトレーニングをしていきました」

 課題を一つ一つクリアしていったステルヴィオは、馬体も一回り大きくして木村厩舎へと戻っていく。秋の緒戦となる毎日王冠(G2)は鋭い末脚で2着に入着したが、これまでの後方一気とはまた違ったレースを、この時から見せていたことになる。

 1枠1番からの出走となったこのマイルCS(G1)。朝日杯FS(G1)以来のマイル戦となったが、実績面だけで無く、父であるロードカナロアが強く出た体型からしても、全く距離の不安は無かったと伊藤厩舎長は話す。

 「この週から芝コースの仮柵が移動し、内枠にいた馬が好走していたので、いい枠に入ったとは思っていました。スタートしてからどの位置で競馬をするのかと注目していましたが、好位に付けていた時には『良し!』と思いました」

 それはビュイック騎手の仕掛けに、ステルヴィオがすぐに反応できた証だった。しかしながら、引っかかる様子は見せることなく、コースロスも無く第4コーナーを回っていく。最後の直線、先に抜け出したアルアインの内に進路を取ったステルヴィオは、そこから更にスピードのギアを上げていった。

 「前を行くアルアインを交わした時には声が出ました。ゴールの瞬間はさすがに感極まりましたね」

 これまでに幾多のG1馬の背中に跨がってきた伊藤厩舎長であるが、それでも厩舎として一丸で掴んだこのタイトルは特別な思いがあると話す。

 「G1タイトルを意識しないと言えば嘘になりますが、これからも厩舎スタッフと共に、決して気負わず、それでもクオリティの高い仕事を続けて行きたいと思います。その中で常にG1にアプローチできる馬を送り出していきたいですね」

 現2歳にも出走が予定されているホープフルS(G1)だけでなく、来年の牡馬クラシック戦線も沸かせてくれそうなサートゥルナーリアといった、現2歳世代にも楽しみな馬が揃う伊藤厩舎の出身馬たち。勿論、進化した走りを見せるステルヴィオも、来年以降は更に強くなった姿を見せてくれるはず。伊藤厩舎のG1ラッシュは、今まさに始まったのかも知れない。