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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳上 (国際)(指定) 定量
  • 芝2500M
  • 天候:曇
  • 芝:良

リスグラシュー

戦歴 19戦6勝 | 海外:3戦1勝 生産者 ノーザンファーム 馬主 (有)キャロットファーム
調教師 矢作芳人 騎手 D.レーン

取材ノート

 ラストランに有馬記念(G1)を選ぶ馬は多い。そこで最高のパフォーマンスを見せ、引退が惜しまれる馬もいる。シンボリクリスエス、ディープインパクト、オルフェーヴル、ジェンティルドンナ、キタサンブラック…。数々の大レースを制してきた名馬ながら、やはり、有馬記念(G1)の印象が強く残っているのは、ラストランの持つはかなさや寂しさ、そして、まだレースを見たかったというファンの思いも、そこに加わってくるからなのだろう。

 2019年の有馬記念(G1)の出走馬にも、これがラストランとなる馬が6頭出走していた。その中の1頭であるリスグラシューを育成していた、ノーザンファーム早来の野崎孝仁厩舎長にとっては、これが育成馬で初めてとなる有馬記念(G1)出走馬でもあった。

 「様々なレースでも最も注目度が高く、そして盛り上がるのが有馬記念(G1)だと思っています。この舞台にリスグラシューを送り出せたのは嬉しかったですし、ラストランということで、どんなレースを見せてくれるのか楽しみでもありました」

 一昨年の9月に牧場を襲った胆振東部地震の際には、ノーザンファーム早来で調整を行っていたリスグラシューであるが、それ以降は矢作厩舎とノーザンファーム天栄を行き来しながら調整が行われてきた。

 「その後、エリザベス女王杯(G1)でG1初制覇をあげてくれたことが、今でも強く印象に残っています。このレース以降は体質だけで無く、精神面でも強くなってきたような印象もありますし、それが宝塚記念(G1)、コックスプレイト(G1)、そして、有馬記念(G1)の結果にも証明されたのではないかと思います」

 内枠が有利とされる有馬記念(G1)において、矢作調教師が身につけていたネクタイと同じ赤色の3枠6番を引き当てた時、野崎厩舎長は運も味方に付けたと感じていた。

 「いい位置で競馬ができると思いましたし、実際にレーン騎手もいいポジションでレースを進めてくれました。仕掛けのタイミングもさすがだなと思いましたが、まさか、あんなに後続を離すとは、思ってもみなかったですね」

 2着との着差である5馬身は、1974年の勝ち馬タニノチカラに並ぶ歴代4位の記録。また勝ち時計の2分30秒5は、2003年のシンボリクリスエスと一緒であり、これも歴代3位のタイムであると同時に、いずれも牝馬ではNo.1の記録ともなった。

 この成績を見てもリスグラシューは今まさに、競走馬としてのピークが来ているとも言える。しかしながら、所属するクラブの規定により、今年の春での引退が決定している。だからこそ、管理をする矢作厩舎のスタッフは渾身の仕上げでこのレースに臨ませたのだろうし、それにレーン騎手が最高の騎乗で応えたからこそ、この圧巻のパフォーマンスは叶ったとも言える。

 2019年に入って海外を含めたG1を3勝。そのうち2つが、一線級の牡馬を相手にしたグランプリレースだったことも評価されて、リスグラシューはJRA賞最優秀4歳以上牝馬と、年度代表馬のダブルタイトルを手にすることにもなった。記録と記憶の双方にも残る、まさに有終の美と言えよう。

 「自身の高い能力は、間違い無く子供たちにも受け継がれると思います。牝馬が誕生した時には、その仔の育成を手がけてみたいですね」と野崎厩舎長は話す。リスグラシューの馬生にとってこの有馬記念(G1)はラストランでは無い。これからは「名牝」として、数多くの活躍馬の母となっていく未来が開かれているのだから。