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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳 OP
  • ダ2000M
  • 天候:曇
  • 芝:良

エメリミット

戦歴 13戦6勝 生産者 飯岡牧場 馬主 (有)太盛
調教師 林正人 騎手 山口達弥

取材ノート

 『ダービーシリーズ2020』の第3戦は南関東3歳馬の頂点を決める「東京ダービー(大井)」。羽田盃を制したゴールドホイヤー(川崎)が1.4倍の圧倒的1番人気となるなか、優勝したのは9番人気(単勝31.1倍)の伏兵エメリミット(船橋)。1枠2番から好スタートを決めて3〜4番手につけると、直線では外に持ち出してマンガン(川崎)との一騎打ちに。2頭の激しい追い比べが延々とつづいたが、ゴールではエメリミットがクビ差粘り切って重賞初勝利を東京ダービーの大舞台で飾った。

 エメリミットの生まれ故郷は、新ひだか町三石の飯岡牧場。2015年のクラウンカップ(川崎)に優勝したウインバローラスの生産牧場で、“ダービー”のタイトル獲得は1997年の北関東ダービー(宇都宮)を制したナスノステージワン以来2度目となる。

 「クラウンカップ(4着)も東京湾カップ(2着)も負けていたので、あまり期待せずに気楽に構えていたのですが、直線で先頭に立ったときはビックリしましたね。いつ差されるかとヒヤヒヤしながら観ていました。ゴールの瞬間は嬉しさよりも驚きの方が大きかったです」とレースを振り返るのは、エメリミットの生産者・飯岡盛雄さん。祖父の代から三代つづいてきた生産牧場だが、現在は繁殖牝馬の数を5頭にまで減らし、奥様と2人で母馬とその仔たちの世話を行っている。

 「エメリミットは牧場にいた頃から特に目立つような馬ではなかったんですよ。でも1歳夏のサマーセールでは多くの声がかかり、お台から競り上がって落札されました。母系の血統の良さが評価されたのかもしれませんね」と話す。その母プーカは競走馬として未勝利だったが、父キングカメハメハ、母の父サンデーサイレンスという良血馬。祖母ペニーホイッスルは、2005年のアネモネステークスに勝って桜花賞(G1)にも駒を進めた活躍馬だった。「プーカはジェイエスの繁殖セールで購入しました。実はそれと同じ一族の別の馬が1頭前に上場されていて、本当はそちらに目をつけていたのですが、高くて買えなかったんです。プーカは当時まだ3歳でしたし、繁殖実績もなかったので予算内で購入することができました」と母馬導入の経緯を説明してくれた。

 シンボリクリスエスを交配した理由については、「母にキングカメハメハとサンデーサイレンスの血が入っているので、配合できる種牡馬は自ずと限られてきますからね。プーカが小柄な繁殖牝馬なので、馬格のあるシンボリクリスエスを選びました」と話す。シンボリクリスエスは昨秋に種牡馬を引退したが、近年もルヴァンスレーヴやサトノティターン、サンライズソアなどがJRAのダート重賞を制し、その活力は衰えていない。さらに後継種牡馬のエピファネイアが初年度から無敗の二冠牝馬デアリングタクトを輩出し、その血の優秀さを示しつづけている。

 エメリミットはプーカの2番仔にあたるが、待望の4番仔が今年3月27日に誕生した。父フリオーソの牝馬である。「フリオーソの仔はよく走っていますからね。東京ダービー馬の妹なので期待しています」と、飯岡さんは当歳馬の未来にも夢を膨らませている。

 「エメリミットは3歳になって3連勝した頃から、一戦毎に力をつけているように感じます。次はジャパンダートダービー(Jpn1)で中央の強い馬たちと戦うことになるでしょうが、どこまでやれるか楽しみですね。南関東の代表として頑張ってほしいと思います」とエールを送る飯岡さん。ご夫婦2人で営む牧場で生まれ育ったサマーセール出身馬が、南関東3歳馬の頂点に立ってJpn1の舞台へ。こういう夢のある話が現実となるから、競馬は人々の心を惹きつけるのだ。