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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳
  • ダ2000M
  • 天候:晴
  • 芝:良

グットクレンジング

戦歴 13戦5勝 生産者 (有)へいはた牧場 馬主 小林祐介
調教師 板垣吉則 騎手 山本政聡

取材ノート

 『ダービーシリーズ2022』の第6戦「東北優駿(岩手ダービー)」は、岩手クラシック一冠目・ダイヤモンドカップの覇者グットクレンジングが1番人気に応えて後続を10馬身突き放す圧勝。岩手競馬3歳三冠に王手をかけた。

 グットクレンジングの生まれ故郷は、新ひだか町豊畑のへいはた牧場。昨年32歳で他界したレガシーワールド(1993年ジャパンカップ(G1)優勝馬)の生産者で、同馬が引退後に余生を送っていた牧場としても知られている。1965年、先代の幣旗力さんが牧場を創業。1989年に繁殖用の牧場を新たに開場し、息子の弊旗芳典さんが牧場を継ぐこととなった。現在は生産に加え、競走馬の中・後期育成も手がけている。

 グットクレンジングは2021年に門別でデビュー。その後、高知、大井と渡り歩いて今春に岩手へ転厩。クラシック路線を歩み、転厩3戦目で見事に“ダービー馬”の称号をつかみ獲った。「正直、あんなに強い勝ち方をするとは思いませんでした。『距離がちょっと長すぎるのでは…』と心配しましたが、ガッツを見せてくれましたね。水沢に転厩初戦のスプリングカップで2着、そしてダイヤモンドカップを優勝したので、よほど岩手競馬と水が合っているんだなと思いました」と、幣旗さんは東北優駿(岩手ダービー)を振り返る。

 「グットクレンジングは母コパノレイミーの初仔です。レイミー自身があまり大きな馬ではないので小さめに生まれてきましたが、こじんまりとしている中でも馬体のバランスが良い馬でした。10月に離乳し本場へ移動して初期調教を行なった際にも、扱いやすくおとなしい馬だったので馴致もすんなりと進みました」と、同馬が牧場で過ごした時期を思い出しながら話してくれた。

 グットクレンジングの父コパノリチャードは、2014年の高松宮記念(G1)優勝馬。母コパノレイミーは佐賀の1800m重賞・飛燕賞に勝利したものの、その父は2002年のJBCスプリント(G1)を勝ったスターリングローズ。その両親の間に生まれたグットクレンジングは、当初からスプリンターの資質が高いと考えられていた。「あの強さがどこからくるのか正直よく分からないのですが、繁殖牝馬と仔馬たちが過ごしている分場は町内でも比較的高い位置にあるんです。高地トレーニングとまでは言わないまでも、幼いうちから心肺機能が鍛えられたのも勝因のひとつではないかと思っています」と話し、日高の山と自然に囲まれた分場へと案内してくれた。幣旗さんが言うように、山の麓に広がる放牧地は運動を促すような傾斜がいたるところにある。この分場で現在、20頭の繁殖牝馬と当歳馬たちが過ごしている。また厩舎の中を覗くと通路に寝藁が敷かれていて、仔馬たちが馬房と通路を自由に行き来できるようなっている。これは馬房の中の窮屈さを解消するとともに、当歳馬の独立心を促す目的で行っているそうだ。その他、当歳用の飼い桶を天井から吊るすなど、馬房の中でも親仔が快適に過ごせるよう工夫を凝らしている。

 「レイミーはうちの本場で育成した馬なのですが、当時は調教の際に引っかかる印象が強かったんです。それが今ではすっかりおとなしくなり、普段はおっとりと過ごしています。まだ8歳と若いですし、これからの産駒が楽しみです」と幣旗さんは笑顔を見せる。現在、コパノレイミーは分場で過ごしていて、お腹にはサトノクラウンの仔が宿っているそうだ。

 「グットクレンジングは、3歳になって確実に良くなっているように見えます。次に出走予定の不来方賞も距離は2000mですが、特に不安要素はありません。とにかく無事に走ってほしいと願っています。そして岩手三冠を獲り、ダービーグランプリへ駒を進めてくれれると最高ですね。その時は、ぜひ現地に応援に行きたいと思っています」とエールを送る幣旗さん。

 そして最後に、昨冬に他界した先代・幣旗力さんについての想いを話してくれた。「功労馬のレガシーロックという馬が親父のお通夜の日に亡くなり、初盆の送りの日にレガシーワールドが死亡。そして親父の一周忌の晩には出産直後の母馬が1頭、命を落としてしまいました。親父はジョッキーから厩務員を経て牧場を開業し、本当に馬一色の人生だったので、馬たちと一緒に過ごしたくて連れて行っちゃったのかもしれませんね。でもこれからは、レガシーワールドたちといっしょに生産馬の活躍を空から見守ってくれると思っています」。岩手三冠へ挑むグットクレンジングにも、きっとその想いは伝わっているはずだ。