HOME > トピックス > 重賞ウイナーINFORMATION > ソールオリエンス
戦歴 | 3戦3勝 | 生産者 | 社台ファーム | 馬主 | (有)社台レースホース |
---|---|---|---|---|---|
調教師 | 手塚貴久 | 騎手 | 横山武史 |
なんと50年ぶりに重馬場で行われた今年の皐月賞(G1)。先行有利な中山コースで後方に置かれるのを嫌ったのか、もしくは若さのぶつかり合いが闘争心を駆り立てたのか、1000m通過は58秒5という重馬場とは思えないハイラップを刻んでいく。
その激流と思えるような流れの中で、ソールオリエンスは後方からレースを進めていた。レースを見ていた日高社台ファームの溝口啓介繁殖厩舎長は、水を含んだ馬場の上を軽やかに駆けていくソールオリエンスの姿に、誕生間もない頃の思い出を重ねあわせる。
「生まれた時から綺麗な馬でした。吉田照哉社長が初めて馬を見に来てくれた時に、『完璧。言うことなし』と言われたことを鮮明に覚えています」(溝口厩舎長)
母のスキアは自身がフィユドレール賞(G3)の勝ち馬であり、半兄にあたるヴァンドギャルドも富士S(G2)を優勝。メイダン競馬場で行われたドバイターフ(G1)でも5歳時に2着、6歳時には3着と長きに渡って安定した活躍を続けていった。
その兄よりも見栄えの良さが目立っていたソールオリエンスは、兄と同じく社台レースホースの募集馬としてラインナップされる。
「1歳の秋頃には後ろ脚に軽い骨折が見つかるなど、全てが上手く運んだわけではありません。ただ、ここまでの戦績や内容は、全てが完璧で本当に驚かされてばかりです」(溝口厩舎長)
2歳11月のメイクデビュー東京で初戦を勝利したソールオリエンスは、次走に重賞の京成杯(G3)を選択。4コーナーでは外に大きく膨らむといった若さをのぞかせるが、2着のオメガリッチマンに2馬身半差をつけて、重賞初制覇。2戦2勝という完璧な成績でこの皐月賞(G1)へと臨んできた。
レースに話を戻そう。先行勢が失速を始めた最後の直線で、馬群から抜け出してきたのは5番人気のタスティエーラ。その背中を追いかけるように、1番人気のファントムシーフが追い込んでくるも、更にその外から弾けるように伸びていたのが、道中は後方にいたはずのソールオリエンスだった。
結果はタスティエーラに1馬身1/4差を付けての快勝。勝った2戦が先行、もしくは中団からの差し切りだったことからしても、まさか重馬場であれだけの切れ味を発揮するとは、ほとんどのファンが想像していなかったに違いない。
キャリア3戦の皐月賞(G1)制覇は、史上初となる快挙。日本ダービー(G1)にもフレッシュな状態で臨めるだけでなく、更に末脚も切れそうな東京コースはソールオリエンスにとってもってこいの条件と言える。
「強い勝ち方を見せてくれました。それだけにこのまま無事に走り続けて欲しいと願っています」とエールを送った溝口厩舎長。弟の快挙の前には、兄のヴァンドギャルドの現役引退と、ブラジルでの種牡馬入りが発表された。
自身の競走成績もさることながら、弟の皐月賞(G1)制覇が更に血統的価値を高めたとも言えそうであり、今後、ブラックタイプには「日本ダービー(G1)」が書き足されている可能性は十分にありそうだ。