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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳 (国際)牡・牝(指定) 馬齢
  • 芝1800M
  • 天候:曇
  • 芝:良

ステルヴィオ

戦歴 6戦3勝 生産者 ノーザンファーム 馬主 (有)サンデーレーシング
調教師 木村哲也 騎手 C.ルメール

取材ノート

 「やっと勝てました。本当に良かったです」とノーザンファーム早来の伊藤隆行厩舎長が笑顔で話す、ステルヴィオのスプリングS(G2)。ステルヴィオにとっては3度目の正直を結果で果たした形となるが、その負けた2戦共に2着であり、そして相手は、昨年の最優秀2歳牡馬に輝いたダノンプレミアムであった。

 「育成厩舎に来た頃から馬体の綺麗な馬でした。外見的評価の高さだけでなく、調教の動きも良く、これなら早い時期から競馬ができるのではと思い、管理をしてくださっている木村先生と入厩時期の相談をしました」

 ロードカナロアの初年度産駒となるステルヴィオであるが、自身の活躍した芝スプリントの条件よりも、距離適性の広さを伊藤厩舎長は感じ取っていたという。

 「前向きさはありましたが、精神面でのコントロールはできていました。マイルよりも長い距離で競馬ができるのではと思っていましたね」

 その後の調教も順調に進んだステルヴィオは、厩舎では一番の早さで木村厩舎へと入厩。6月4日のメイクデビューに出走すると、見事に初勝利をあげる。

 「2歳の早い時期から勝ち鞍をあげる馬を送り出せたというのは、育成スタッフ冥利に尽きますし、厩舎のモチベーションも上がる勝利となりました」

 札幌で行われたコスモス賞では、単勝1.3倍と言う圧倒的な人気に応えて勝利。その後はサウジアラビアRC(G3)、朝日杯FS(G1)とダノンプレミアムの前に後塵を拝したが、それでもこの世代におけるトップホースの1頭であることを、そのレース内容からも証明し続けた。

 朝日杯FS(G1)以来、約3か月ぶりのレースとなったスプリングS(G2)。TVで観戦していたという伊藤厩舎長であったが、パドックでの姿からも状態の良さはうかがえたと話す。

 「2歳時から証明していた完成度の高さはそのままに、精神面もしっかりしていたような印象を受けました。この状態なら恥ずかしくないレースを見せてくれると思っていました」

 ゲートが開くとコスモイグナーツが主導権を取り、後続との差を引き離していく中、ステルヴィオは中団からやや後方に待機。2番手でレースをしたエポカドーロが2着に粘り込み、3着にも前でレースを進めたマイネルファンロンが入ったことからも、実質は先行勢有利の流れとなった中、メンバー中最速となる上がり3ハロン34秒1の末脚で、エポカドーロをハナ差捕らえたのは、ステルヴィオだった。

 「ゴール前は前の馬を交わしてくれ、との思いだけでした。それでも体力面でも強化されていることを証明できたレースでしたし、改めて距離の不安は無いことも証明できたレースともなりましたね」

 話を聞いた際に、伊藤厩舎長が「やっと勝てました」と話した理由。それは3度目の正直ならぬ、3度目の重賞挑戦を勝利で飾ったステルヴィオだけでなく、伊藤厩舎にとっても、育成馬ではこの勝利が初めての重賞制覇となった。

 「常々、日々の調教を積み重ねて、体力面の強化だけでなく、ゲートも無事にクリアできるようにするなど、次へ繋がる仕事が大切だと思ってきました。育成馬の重賞勝利を意識してないといえば嘘になりますが、それでもいつか叶えられたらと思ってきたのは事実です。しかも、クラシックに育成馬を送り出せたこともまた、嬉しかったですね」

 まさに「日々の積み重ね」が繋がった、今回の重賞初制覇。ステルヴィオは伊藤厩舎にとって、輝かしい歴史の一ページを飾った。今後は更に大きなタイトルを制して、更なる喜びや、その活躍に繋がる馬を送り出したいというモチベーションの高さを、伊藤厩舎長や厩舎スタッフに与えてくれるに違いない。