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重賞ウイナーINFORMATION

  • サラ系3歳上 (国際)(特指) ハンデ
  • 芝2000M
  • 天候:曇
  • 芝:良

タツゴウゲキ

戦歴 18戦5勝 生産者 (有)川上牧場 馬主 鈴木高幸
調教師 鮫島一歩 騎手 秋山真一郎

取材ノート

 夏のローカル重賞、小倉記念(G3)はタツゴウゲキが好位から抜け出し、重賞初制覇を飾った。

 本馬の生産は新冠町の川上牧場。ゴールドアクターやレインボーダリアなど、数々のG1馬の里として知られる泊津地区に本場と分場を構える。創業は昭和41年で、過去にはクラシックホースのナリタタイシンやマヤノトップガン、ダートG1馬ブルーコンコルド、中山大障害(J・G1)連覇のキングジョイなどを生産している。繁殖牝馬は約40頭で、川上さん家族を含めて約10人が働いている。

 同牧場の川上悦夫さんはレースを振り返り、「重賞を勝てて嬉しいです。接戦のゴールだったので、最後は勝ったかどうかわかりませんでしたが、スローVTRでわかり、ホッとしました。父の産駒らしく、古馬になって強さを増してきましたね」と、笑みをこぼした。

 本馬は父マーベラスサンデー、母ニシノプルメリアという血統の牡5歳馬。母は未勝利馬だが、母の父がジャパンカップ(G1)の勝ち馬シングスピールで、祖母ニシノムーンライトは中央6勝の実績馬。引退後、同牧場で繁殖生活を開始し、最初に誕生したのが本馬だった。牧場時代については、「血統の良い母馬ですから、産駒に期待していました。交配したマーベラスサンデーは、牧場生産馬のマヤノトップガンのライバルで、間近で見ていましたし、思い入れがありました。種牡馬としてもよく交配していたんです。また、ナリタタイシンやマヤノトップガンもそうですが、以前のCBスタッドや今の優駿SSの繋養種牡馬とは、牧場としても相性が良いみたいで、走る馬が出ます。タツゴウゲキは初子の分、小ぶりでしたが、飼い葉はしっかり食べていましたし、母馬も小さい馬ですからね。気性は強くて、動きは良かったですよ。成長度合いはゆっくりでしたが、順調に育ちましたし、中央で1つ2つは勝てるだろうという手応えでした」と、川上さんは振り返る。

 同牧場で1歳秋頃まで過ごし、新冠町のクラック・ステーブルに移動。およそ一年乗り込まれて、栗東・鮫島一歩厩舎へと巣立った。クラック・ステーブル代表の村上進治さんにも、当時を振り返ってもらった。

 「調教ではセンスのある走りで、背中も感触も良く、高い素質を感じていました。ただ、体が減りやすい面があり、攻めたり、楽をさせたりを繰り返して、慎重にメニューを組んでいました。この世代の中では一番遅い調教進度のグループでしたが、とにかく馬に合わせて作っていこう、急かせずにいけば、この馬はどこかで走ってくるタイミングにたどりつける、と時間をかけたことが、先々につながって良かったです。重賞馬に成長させた鮫島一歩厩舎の皆さんの努力も、計り知れないと思います」

 この夏、「サマー2000シリーズ」でも上位に入り、全国に名を広めた本馬。デビューは3歳6月で、初勝利は格上挑戦の500万と、重賞制覇への道のりは決して平たんではなかったのかもしれない。しかし、それを乗り越えてきた実力は、今回のゴール前の気迫にも表れていたように映る。

 「5歳夏ですが、伸びしろを感じますし、体に実が入ってきましたね。今後強いメンバーとの争いになりますが、長く重賞で活躍できる馬になって欲しいです」と、川上さんは願っている。

 じっくりと育まれた大器は、いよいよ完成の域へ。本馬のように、夏までに勝ち上がれなかった馬たちに、希望を与える熱い走りを期待したい。